企業成長の五段階説(2)

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企業成長の五段階説(2)

 

引き続き、ラリー・E・グレイナーの「企業成長の“フシ”を乗り切るか」に基づき、検討を進めて参ります。

 

1.創造性による成長→統率の危機

組織の成立期においては、市場と製品・サービスの創造が同時に求められます。組織はいわゆる創業メンバーが、形にとらわれない密接なコミュニケーションを取りながら長時間労働で成長を続けていきます。成功したベンチャーでは、創業メンバーは持ち株などで報いられることになります。

創造性による成長が進むと、会社には創業メンバー以外の従業員が増加することになります。増加した従業員は、創業メンバーとは異なった性格を持っています。彼ら彼女らは、形にとらわれないコミュニケーションだけでは意思疎通ができず、創造した製品・サービスにロイヤリティーも感じません。また、組織が大きくなることで資金繰りなど財務面の負担も大きくなります。

この段階になると、創立者は望みもしなかったマネジメントを抱え込み、統率の危機を迎えることになります。この危機を乗り越えるためには、創立者自身がマネジャーに転身するか、有能なビジネスマネジャーを配置する必要があります。

 

2.指揮による成長→自主の危機

第一段階を乗り切った会社は、有能なマネジャーの指揮の下、成長を続けることになります。この段階の特徴は、製販分離など職能分化・専門化、予算統制、会計システムの導入、マネジャーとスペシャリストの分離、フォーマルなコミュニケーションなどです。

やがて、生の情報が下位のマネジャーに集中するようになり、社内手続きに従うか、自ら主導権を発揮すべきか、悩むようになり自主の要求が高まります。

トップマネジャーは権限の委譲に踏み切れず、下位のリーダーも経験不足・能力不足で意思決定できない状況になれば、自主の危機は長引くことになります。

 

3.移譲による成長→統制の危機

権限の移譲に成功すると、分権化組織構造となることで、各マネジャーは、自身の判断で、新しいより大きなマーケットへ素早く顧客対応、新製品開発も可能になります。また、下位レベルのマネジャーの動機付けが有効に機能し成長して行きます。

ところが、各マネジャーの権限が高まることで、行き過ぎた自由が偏狭な態度を生み、会社全体の利益に反する事態になります。ここに及んで、トップマネジメントは再び集権化を図りますが、通常は失敗し、統制の危機を迎えます。

統制の危機を乗り越えるためには、会社独特の調整技術が必要とされます。

 

4.調整による成長→形式主義の危機

新しい調整システムは、会社内の限られた資源を効果的に配分することで会社に成長をもたらします。他方、各マネジャーは分権化による大きな権限を有しており、本社の統制に対して自らの行動を正当化することを覚えていきます。

ライン・スタッフ間や本社と現場の間に信頼感の欠如が生じ、調整システムが形式化することで危機が訪れます。

 

5.協働による成長→新たな危機

形式主義を乗り越えるため、強い個人相互間の協働が求められます。特に従業員の自発性が重んじられ、社会統制と自己訓練により柔軟で行動科学的アプローチが用いられます。

チーム行動を通じた課題の早期解決、職能を超えて組織されるタスクグループの活用、より良いチームワークの醸成、マネジャーによる計画的な教育訓練、グループ単位の報酬体系、新しい活動や実験の奨励が成長をもたらすことになります。

一種、理想的な組織のように感じられますが、グレイナーは新しい危機を指摘しています。それは、革新やむ能わざる組織における「従業員の疲弊」です。現代の企業で頻発するメンタルヘルス不全などが、これに当たるのでしょう。

グレイナーは、従業員を定期的に休ませることや、体育施設の利用促進、仕事を相互に交代するなど、新しい取り組みが有効なことを示唆しています。

日本における働き方改革も、この段階の課題なのかもしれません。

 

さて、皆様の会社は、何段階目にあるでしょうか?

 

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